新設計したモータードライバの紹介

そら
Written by そら on
新設計したモータードライバの紹介

こんにちは!
今回は新しいモータードライバを設計したので紹介します!

Abstract

前回の設計はなんと2年前。

当時と比べて、基板を設計する能力や電子回路に関する知識は比べ物にならないほど成長したと思っています。

今回も前回と同じTB67H450FNGを使用しています。

前回の基板より進化した点

この基板には、私のたくさんの「初めて」が詰まっています。
なのでそれらを紹介していきます。

設計

前回の基板では12Vも3.3Vも5Vも信号線も、とにかく全部同じ太さで配線を行っていました。

しかし、今回は、12Vと3.3Vは比較的太めの線を用意しました。
配線に流すことのできる電流は 1 [A/mm] と言われているので、実は少し細いのですが…

データシート

そして、今回より使用する部品の全てのデータシートを読み込んでいます。
今までは個人ブログに書かれてた、「動作検証のための最小設計」を用いていました。

しかしながら、実際に大会で使用してみると、多くの難点がありました。

なので今回の設計からは全てデータシートを読んでいます。
今まで「データシートを見る」ということにあまり重要性を感じていませんでしたが、実際に読んでみると重要な情報ばかりでした。

例えば、今までの基板には、積層セラミックコンデンサーしか載っていませんでしたが、データシートによると電解コンデンサも配置する必要があったそうです。

ケーブルの削減

前の基板では、以下のようなケーブルでマイコンと通信したりしていました。

  • 信号用(6ピン)
  • 5V電源(2ピン)
  • 3.3V電源(2ピン)
  • 12V電源(2ピン)

信号用と12V、3.3Vは理解できるのですが、問題は5Vピンです。
このピンなんのためにあると思いますか?

まさかの通電確認用LEDでした。  

ほんとになんでこんな設計にしたんでしょうね?

それに加えて3.3Vと5VピンのシルクはXHコネクタの下側になってしまい埋もれている…. これでは5Vと3.3Vを反対に繋いでしまい、モータードライバが爆発しかねません。

その対策として、5V側にマスキングテープを貼っています。

5V側にマスキングテープが貼られた通信ケーブル

今回は3.3VレギュレータであるNJL2845DL1-33も配置してるのでさらにケーブルを減らせてますね。

そして12V電源をXHコネクタからXT30コネクタにしたのでさらにシンプルになってます。

⚠️ XHコネクタで電源を取る危険性

XHコネクタは一般的に3A[1]までしか流すことができません。
これに12Vを流してモータを回してしまうと、普通に燃えかねません。
絶対に真似しないでね!!

なお、XT30に関しては20A[2]まで流せます。

基板に配置された3.3Vレギュレータ(NJL2845DL1-33)とXT30コネクタ

新たな試み

改良だけでなく、新たにこのようなこともやってみました。

計画された基板サイズ

今までの基盤は完全無計画でサイズを決定していました。
だからその基盤が筐体に収まるかどうかが決まるのは、はめるその時までわかりません。

しかし、今回は筺体の端に設置するということで、曲線形状になっています。
そこで、基板をプリンターで印刷し、実際の機体に当てはめ、納得のいく形状になるまで調整を繰り返しました。

そうすることで、画像のようにぴったり収めることができました。
個人的にとても納得いってます。

機体の外周にぴったり配置された今回のモータードライバ

手はんだ

今回の基板には、手はんだで基板上のすべての部品が実装されています。
もちろん表面実装部品も含めて。

これには理由があります。

確かに、JLCPCBには実装してくれるサービスがあります。
過去の基盤のほとんどはJLCPCBに実装をお願いしています。

過去にJLCPCBに実装してもらった基板

確かに、手はんだでは相当到達できないような圧倒的な美しさを誇っています。
しかし、私のはんだ付け技術は発達しないままです。

これからも実装部品が小さかったり、部品の下に端子があるようなWS2812Bなどは手はんだでは相当厳しいのでJLCPCBさんに積極的にお願いしていきたいです。
しかしながら、自身のはんだ付け技術の向上のため、「実装できそうな部品は実装してみる」というスタンスでこれから行っていきます。

白基板

今までのすべての基盤は黒です。
マット塗装がされていて大変美しいです。

今までの黒基板

一部では、
「黒基板以外は外道」
「黒基板こそ至高」
という人もいます。

しかし、黒ばかりを使用していて良いのでしょうか。
せっかくJLCPCBさんは多色展開をしてるんだから、他の色にも挑戦してみたいじゃないですか。

JLCPCBのサイトの基盤色の展開(緑、紫、赤、黄色、青、白、黒)

ということで、今回は白基盤です。

基板設計&発注

今回はKiCad 9.0.3で設計しています。
前述した通り、すべての電子部品のデータシートを読んでいます。

データシートに書いてある通りに設計しただけなので、特にどうってこともありません。

発注はいつものJLCPCBさんです。
今回もDHL Expressで発注しました。爆速で届いてくれたので嬉しかったです。

JLCPCBから届いた青い箱

JLCPCBについて

今回だけでなく、今まで私が作成した基板についてはすべて「JLCPCB」という企業にお願いしています。

ありがたいことに、スポンサーについていただいております。
冗談抜きで素晴らしい会社です。

あまりにも素晴らしすぎるので紹介をば。

JLCPCBは中国の経済特区にある会社です。
中国と聞くと最近は悪いニュースばかり聞きますが、ちゃんとした会社です。  

ロボカッパーの間では「基板といえばJLCPCBだよね」ぐらいまで認識が広がってる感じです。

最近だとりくラボさんもJLCPCBさんをかなり使用していますね!
(正確にいうとJLCPCBの3Dプリンタ事業であるJLC3DPですが…)

以下のリンクからぜひ注文してみてくださいね!

Industry-Leading PCB Prototype Manufacturer | 24-Hour Quick-Turn Prototypes, PCB Assembly, and Low-Volume Production. Get Instant Quote & DFM Support!
JLCPCBは新規ユーザーに$60無料クーポンを提供します。弊社はより多くの日本の電子エンジニアために、高品質なPCB、PCBアセンブリ、および3Dプリンティングなどの...

なんと、格安になるクーポンまでもらえちゃいます。
関税を除いたすべての金額をクーポンで払えちゃうので、もらっときましょう。

実装

今回は手はんだでの実装です。
1608(USサイズ:0806)の抵抗やら、積層セラミックコンデンサを秋月電子で集めてきました。
一部セラコンになかったコンデンサは、お馴染みな青いコンデンサを代替手段として使用しています。

100均で売っていたケースに収納し、マステで管理番号・サイズ・値などを記録しています。

箱に収納されたたくさんの抵抗やコンデンサ

実装手順は至ってシンプルです。

  1. フラックスを塗布する
  2. 片側にはんだを盛る
  3. はんだごてで温めながら抵抗やコンデンサを滑りこませる
  4. 反対側にもはんだをつける
  5. 無水エタノールと歯ブラシとキムワイプでフラックスを洗浄
  6. 歯ブラシに水をつけ、無水エタノールを清掃する

動作確認

前座が長くなってしまいました。
まあ「新しいことを色々したんだな」ぐらいに思ってくれればいいです。

Nucleo F446REを用いてPWM信号を送るだけのシンプルなプログラムですね。

動作の様子はこんな感じ。

無事に動いてくれてよかったです!!

最後に

いかがでしたでしょうか。

今年は岐阜ブロック大会に出場することができなかったので皆さんにはTwitterでしかお見せできないのが残念です。

来年以降ももちろん出場しますので、またその時にお会いしましょう。

せっかくなので私のTwitterでも覗いてってくださいな

参考文献

[1] J.S.T. Mfg Co., Ltd. XHコネクタ 2017年
https://akizukidenshi.com/goodsaffix/xh.pdf

[2] XIANGTAN Qianjia ELECTRONICS Co., Ltd. XT30U 产品规格书 2021年 https://akizukidenshi.com/goodsaffix/XT30U.pdf

そら

そら

ロボットを作ってる。高専に行く夢やドラえもんを作る夢を持ってます。

Comments

comments powered by Disqus